至空会にはたくさんの職種のスタッフがいます。それぞれの業界団体の学会のお手伝いをすることも多いのですが、今回は第29回静岡県作業療法学会のお手伝いに各施設からOTスタッフが行きました。

 

今回、自主製品の餃子で有名な「はまかぜ」さん(三方原病院)も、餃子とチャーハンのお弁当を出品していたりでした。

 

ところで、その合間をぬって、それぞれがポスター発表や教育講演を聞きにいったりしたのですが、当ブログ筆者は市民公開もされていた、ホスピス医師の山崎章郎先生の特別講演を聞きに行きました。

 

「苦しむ人々と向き合う〜スピリチュアルペインとそのケア」という題名です。

 

スピリチュアル、というと非常に怪しい響きであり、なんだかおかしな話にもなりかねないテーマですが、山崎先生のおっしゃる「スピリチュアルペイン」というのは、そういうオカルト的な話ではありません。

 

病気や障害によって、人生の意味を喪ってしまったり、活動が低下したり、その運命を恨んだり、家族への重荷を心配したり、過去を悔いる気持ちで苦しくなったり、希望を見出せない孤独感に苛まれたり、といった様々な苦しみが人にはおよぼされてしまいます。

 

そこから、自分と他者(相手は人であったり、社会であったり)との関係性がうまくいかなくなってきて、そのできないつらさ、というのが「スピリチュアルペイン」(魂の苦しみ、とでも訳したらいいのでしょうか)というものになっていくということです。

 

山崎先生は、がんの終末期ケアをメインにされている先生ですが、最後に「これは何もがん患者さんに限った話ではない、みなさんが日々向き合われている、様々な病気や障害の患者さんたちにとっても、また、健康とされている人々にとっても、スピリチュアルペインのケアが必要なことなのです」と結ばれていました。(意訳です)

 

私も同感です。至空会の利用者さんたちも、対人関係が苦手だったり、働くことなど社会との関係も難しかったり、だからこそ私たちを頼ってくださって、私たちはそれに応えようと様々な取り組みをしています。

 

私事ですが、この道を目指したきっかけは、二十数年前に図書館の片隅で出会った、山崎先生の著書「病院で死ぬということ」でした。そして今までその本は、終末期ケアのことを書いたエッセイだと思っていましたが、実は、今の仕事に根本でつながってくる内容であったことを、やっと知りました。

 

山崎先生は講演の最初に「私が南極で船医をしていたときの写真です」と船の上での写真を見せ、続いて「船に乗っている間はきっと時間もたくさんあろうかと、何冊も本を持ち込みました。それが私の人生を変えてしまったのです」と、キューブラー・ロスさんの「死ぬ瞬間」という本の表紙をスライドで出しました。その後、「それから数年して、ご本人にお会いする機会がありました。目の前に、自分の人生を変えてくれた人がいました」とお話しになりました。

 

私も、まさに同じ気持ちでした。

 

時間の都合上、質疑応答もなく、山崎先生もすぐに帰られてしまったため、直接お話しをすることはできませんでしたが、これからも天竜川から浜名湖の間で、子どもも大人も幸せに生きていける地域作りの社会運動をがんばろうと思います。

 

(※本投稿はスタッフの個人的な感想であり、法人としての見解を表明しているものではありません)